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【カズ中西のもりまち安全運転研究所】(番外編) ドキドキをワクワクに変えるインカムDT-02 活用術

何事においても初めての体験は、不安がつきまとうと思います。
例えば初めて通る林道。地図やナビでは通り抜けられると表示されていても、いった当日にその場所が通れるとは限らない。事実、倒木や路面崩壊、土砂の流出等でUターンを強いられたことは1度や2度ではないです。

そんなシチュエーションで役立つツールの一つがインカム。
マスツーリングの場合は、先行者が後続者にリアルな道路状況を伝えることが出来、ソロツーリングの場合でも、いちいちヘルメットを脱ぐことなく電話を掛けることが可能です。
そんなの当たり前すぎてお役立ちツールになるの?と思われがちですが、実は初めての経験で過酷だと感じる時ほど、インカムのありがたみが身に染みるようです。

使い勝手が大幅に向上したDTシリーズのフラッグシップモデル

先ごろ、DTシリーズの新フラッグシップモデルとしてDT-O2が登場しました。
クアルコム社のQCC5181Bluetooth5.4ハイエンドチップを2つ搭載、8人通話が可能、マイク&スピーカーのアップグレード化、システム音声はバイク声優の難波祐香さん等々、何かと話題の多いインカムです。
詳しいスペックについてはデイトナの専用サイト(https://daytona-talk.com/dt02/)をチェックしてもらうとして、これまでDT-O1&DT-E1を使ってきた僕なりの感想を述べたいと思います。

ポイントはインカムに何を求めるのか?優先的に考える性能は?この辺りはユーザーそれぞれというか、各人のバイクライフによって異なると思います。
僕は音楽の再現性とクリアな通話、他社インカムを含めてのペアリングのしやすさ、バッテリーのもち具合を重視しています。DT-O2はそれらの要件において、DT-O1やDT-E1を確実に上回っているように思います。後発ですし最新だから当たり前と言えばそれまでですが、DT-O1の時点でしっかり性能追及していたからこそ、正常進化できたのだと思いました。

もう一つのポイントは、グローブをしたままでも直感的に操作できる事です。
DT-O2はDT-O1やDT-E1に比べて、操作するボタンが大型化しています。したがって本体サイズも若干大きくなりました。とはいえ、大きくて使い勝手が悪いと感じることは無く、むしろAボタン・Mボタン・Vボタンの配置が伝統的で、システム音声で確認しながら様々な操作を3つのボタンだけで出来ることに、使い勝手の向上を実感しました。

黒ベースで高級感のある箱に収められたDT-O2。中身を確認すると、余計なものが入っていないというか、過剰包装になっていないことに好印象を受けました。フィッティングについては、付属の取説をしっかり読めば、ほとんどの人が簡単にできてしまうでしょう。

DT-O1と比較すると、DT-O2は僅かに大型化していることが分かります。
A・M・V各ボタンの機能選択やON/OFF切り替え等については、DT-O1を継承。
ただし、各ボタンがサイズアップしているので、操作性はすこぶる向上しています。

色んなメーカーのインカムが混在するショップツーリング

8月某日、カワサキプラザ山梨のツーリングに参加しました。スタート地点となる集合場所で真っ先にチェックしたのは、参加者皆さんのヘルメット。ほとんどの方がインカムを装着していました。しかしながら、そのメーカーやブランドは偏りなくバラバラな感じ。仮に皆でペアリングするとしたら、かなり大変そうです。同じ考えだったのか、プラザ山梨の吉田GMから渡されたのは行程表のみ。シンプルにして究極なアイデアだと思いました。スマホのナビアプリがあれば、インカム通話しなくても休憩地点や目的地まで迷わず行けます。

実はこのインカム問題、これまでに参加してきたほとんどのツーリングで、ペアリングに難儀してきました。現在市販されているインカムは、他社インカムとのペアリングもサポートしていますが、10年前以上の機種だと取説ではペアリング可能とうたっていても現場ではなかなか上手くいかない。結果、ペアリングに時間を食ってしまい、ツーリングプランが崩れてしまうこともありました。

このツーリングでは、同じモーターサイクルクラブに所属する後輩が参加していたので、僕のDT-O2は彼が使用しているSENA30Kのみとペアリング。どちらもスマホとの接続を切り、インカム同士の接続にすることで通話可能となりました。他にもペアリングのやり方はあったように思いますが、短時間でペアリングするにはこの方法しか思い浮かばなかった。結果、ペアリングできたのは1人だけでしたが、ツーリング中はクリアな会話が出来て良かったと思います。

今回の目的地は、白樺湖の近くに所在するライダースカフェJ.DREAM・1でした。
アクセス路は、北杜市から原村を通って大門街道というルート。誰一人はぐれる事無く到着出来て良かった!
途中は雨模様でしたが、到着してレインウェアを脱ぎ出したら晴れ間が…。帰路は国道299号線、つまり麦草峠越えです。つづら折りの峠越えルートは、ライテクと経験値、バイクの性能差がモロに露呈するので、インカム通話が出来れば便利。先行者が後続者に、道路の状況や注意点を知らせられるからです。実はこれこそ、危険回避&安全運転につながる術で、物理的に可能ならば、できるだけ多くの参加者でインカムペアリングすることをオススメします。

道案内しながらライテクも伝授

カワサキプラザ山梨のツーリングは野辺山で終了、解散。久々に大勢の方と走れて楽しかったです。ここからは同じモーターサイクルクラブTOMCATSの先輩・後輩による修行(?)ツーリングです。野辺山から甲府を目指すルートは幾つかありますが、その中からクリスタルラインをメインとする山越えルートをチョイスしました。後輩ナオキくんにとっては初体験のルートで、「ちょっとドキドキしますけど、何とか着いていきます!」とインカムを通して元気なお返事。僕にとっては20代前半から何度か走っているルートですが、風雨の影響や路面のメンテナンス具合によって、道路状況はいつも同じではないと思っていますので、油断できない林道接続ルートになります。

インカムのペアリングを確認して、いざ甲府へ!案の定、みずがき山近くで土砂の流出跡が幾つも出現しました。アドベンチャーやオフロードバイクなら難なく通過できる状況ですが、僕はカズ兄のZ2、ナオキくんはZ900RSというバリバリのネイキッドモデルで、雨降りの中、木々が覆いかぶさる道幅2m弱の荒れた舗装路、時々土砂の流出による泥路面に出くわすというシチュエーション。特にネイキッドバイクでマディな路面を走ったことのないナオキくんにとっては、苦行でしかないと思いました。

ところが、「離れれば会話が途切れ、近づけば再接続で会話ができるから、意外に安心です」というナオキくん。ここはエンデューロコースか?と思ったほど全面マディな路面状況もありましたが、「どの走行ラインを取ればいいですか?無理そうなら押していきます」と冷静に返答してくるシーンもあり、僕自身も彼が何に困っているのか?を把握しやすく、その場面を切り抜ける術を適切に伝授できたと思います。

困っているシーン以外は、お互いの近況や仲間の面白エピソード等で会話が弾み、結果的に楽しい修行(?)ツーリングができました。それも会話がクリアなインカムペアリングができたからこそで、改めてインカムのありがたみを思い知らされた次第です。

クリスタルライン、みずがき山付近の林道です。普段なら先ず選ばない、僕のライディングスクール受講者レベルでも連れていくことのない酷いルートです。何とか通り抜けられることを知っている僕は冒険心マンマン、オンロードバイクでこのシチュエーションに挑むナオキくんはドキドキ&ワクワクだったことでしょう。

ある程度は予想していましたが、やはり現れました泥路面。舗装路の上に泥が全面覆いかぶさっている場所では、轍の幅と深さ、道路端のコンディションから、どのラインを取れば安全かつラクに通り抜けられるかを見極めなければなりません。水たまりになっている場所では、その水たまりがどのぐらいの深さなのか、路面が陥没または崩落していないかを事前に確認してから進行するのが安全策です。アドベンチャーやオフロードバイクなら思い切って行けるかもしれませんが、2台ともオンロードタイヤのネイキッドですから、ライディングスキルまで考慮して適切に判断、アドバイスすることが大切。オン/オフバイクを問わず心掛けるポイントは、通過しきるまでタイヤの回転を止めない事。ここでは、一気に駆け抜ける術もありますが、ゆっくりと進む場合はクラッチワークとリアブレーキコントロールが重要です。

道路構造というかレイアウト上、どうしても離れてしまうことが度々あります。特に初めて走る人にとっては、不安感ばかりでしょう。ここで活躍したのがインカム通話。「近づくと自動的に再接続されるから、安心して走れました」とナオキくん。そこは僕も同じで、会話が途切れたら停まって待つ、繋がったら走り出す、の繰り返しでした。

色んな意味でスパルタンな林道。少し広いに抜けたところで「酷い道でしたね~。でも、いい経験になりました」とナオキくん。今後の練習課題も見えてきたとのこと。先輩としては、転倒やケガをさせずに道案内できてホッとしました。特にインカムのありがたみを感じたのは、ナオキくんにとって難しい場面の切り抜け方を、リアルタイムで教えられたことでした。

その後もインカム通話を楽しみながら、無事に甲府着。バイクから降りてみると、2台ともすっかり泥まみれになっていました。「中西さん、ウチでバイク洗っていきますか?」と笑顔のナオキくん。僕はバイクコーティングやガソリンスタンド業務で培ったプロの洗車術まで伝授することに(笑)彼にとって今回の修行ツーリングは、楽しみながら勉強にもなったのだと確信しました。インカム自体はこれからもドンドン進化していくものだと思いますが、安全に楽しむツーリング文化は不変。笑顔でRIDE、ブジカエルためにインカムは必須アイテムだと思いました。

このブログの動画編もあります。ぜひ併せてご覧ください。

ライターProfile

KAZU中西

モーターサイクルジャーナリストを始め、イベントのMCやラジオDJなどマルチに活躍!伊伝株式会社の広報担当であるとともに伊豆スカ事故ゼロ小隊の中隊長、静岡県二輪車安全運転推進クラブ伊豆地区会長など、積極的に交通安全推進活動を行っている。

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