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【カズ中西のもりまち安全運転研究所】7 証拠を残すだけではないドラレコの活用術

最新のドライブレコーダーは、客観的な記録動画を残せるだけでなく、Vlog等の素材収集にも活用できるほど高性能。着けた方が良いのは分かっているという声をよく聞きますが、ブラックボックス的なイメージがそうさせるのか、クルマ用ほど普及していないように思います。僕は本来の性能機能に期待していますが、安全運転について学べる教材としても活用するようになりました。あれば必ず役に立つドライブレコーダーのお話です。

1. 急速に進化した感のあるドライブレコーダー

僕がバイク用ドライブレコーダーの開発に携わり始めた頃は、航空機のブラックボックス的な位置づけで、事故発生時に客観的な映像証拠を残すことを命題としていました。あれから約17年、アクションカメラやウェアラブルカメラはもちろん、スマートフォンのカメラ性能が目覚ましく進歩。個人でも活用しやすいい動画サイトやSNSの賑わいもあり、動画を撮ることに不自然さを感じない世相となりました。デイトナが取り扱うMio™MiveuMシリーズのドライブレコーダーも、日進月歩の勢いで進化。最新モデルはM820WDとなり、SONY製STARVIS™の採用はM760Dと同じですが、専用アプリによるスマートフォンへの動画転送の速さ、動画の保存性、新たに追加された駐車監視モードなど、まさに最新モデルらしい性能の進化に驚くばかりです。

8月下旬、バイカーズパラダイス南箱根にて発表されたM820WD。デイトナが取り扱うバイク用の最新ドライブレコーダーです。このローンチイベント自体もデイトナとしては初の試みだったそうで、駆けつけた報道陣や一般観覧者の多さから期待度の高さをうかがい知ることができました。

M820WDより搭載された新機能、駐車監視モードです。これはバイクの電源を切った後、Gセンサーやモーションセンサーが作動状態となり、センサーが反応すれば一定時間にはなりますが、自動的に動画を記録します。盗難抑止やいたずら防止に役立つ機能で、バッテリーの電力消費を考慮した監視モード自動OFF設定も可能です。実際、装着してから1ヶ月以上を経過していますが、駐車監視モードを稼働させたことでバッテリーが弱まる、または上がることは無いです。

2. ぶっちゃけどこが違う?M820WDとM760Dを比較してみる

僕はカズ兄のZ2にM820WDを、VMAX(1700)にM760Dを装着しています。デビュー時期から考えれば、性能面ではM820WDが圧倒的に優位。しかし、M760Dもまだまだ第一線級だと思います。採用しているCMOSセンサーは、どちらもSONY製STARVIS™。基本的にはほぼ同じ機能を果たします。では、どこが進化しているのかと言えば、スマートフォンへの動画転送の速さ、スーパーキャパシタの採用による保存性、トリップラプス(タイムラプス)機能を新搭載したのがM820WDです。それ以外にも、構造面や装着しやすさなどに若干の違いがあります。

 

本体のサイズや仕様、配線の取り回しなどを比較してみます。本体サイズはほぼ同じですが、マイクロSDスロットカバーの仕様が若干異なります。本体から延びる配線等については、M760Dがカメラセンサーとのコネクタをほぼ同位置に揃えているのに対し、M820WDでは配線の長さを意図的に変えてコネクタ位置をずらし、束ねやすく収まりよくなっているのが分ります。配線の取り回しでは、M820WDが勝っているように思いました。

 

どちらのカメラセンサーもSONY製STARVIS™CMOSセンサーで、基本的には同仕様を採用しています。センサーホルダーは、M820WDの方に自由度の高さを見受けます。

 

イベント録画など、突発的に操作しやすいスイッチデザインはほぼ同じ。サイズも同様です。搭載機能によってLEDランプの発光パターンが異なる程度で、使用する上での難しさは感じられませんでした。

ドライブレコーダーの装着外観を比較してみます。VMAXでは、カメラセンサーの存在感について、あえて隠すような装着はしませんでした。Z2の方は、スタイリングにこだわる旧車ユーザーの参考になるよう、可能な限りカメラセンサーの存在を隠すように装着しています。出先で会ったバイク乗りからは、どちらも一見してカメラセンサーの存在を気づかれにくく、僕から説明するまで全く気付かない人もいました。

3. 客観的な記録が色んなシチュエーションで役に立つ

ドライブレコーダーと言えば、事故や煽り運転による被害を受けた際、客観的な証拠動画を残せることが本来の機能になります。しかし、近年のドライブレコーダー映像は、10年前より確実に鮮明で、アクションカメラ代わりにも使えると思います。僕は気になるお店のあった場所の確認、ビギナーに対する安全運転レクチャーについても活用しています。ここでは、あえてドライブレコーダー動画から切り出した写真を使って説明していきます。

7月末にニンジャ250を納車、20年ぶりにライダー復帰したヤングさんこと、シンガーソングライターの福山竜一さん。僕のラジオ番組(カズ兄さんのモーターレボリューション)にも月1回のペースで出演しています。ドライブレコーダーの動画は、ヤングさんがどのように乗っているか?を客観的に見てもらい、改善のきっかけとなるツールとして活用しています。

9月中旬、ヤングさんと山梨県内をツーリング。僕はM760Dを装着したVMAXで行き、途中でシャトレーゼの本社工場とよっちゃん食品工業本社前を通りました。後日にその話をすると、「え~どこにあったっけ?」とヤングさん。僕も含めて人間の記憶は意外にも曖昧ですから、動画にて位置を確認してもらいました。

M760Dを装着したVMAXでIZUセーフティドライブ作戦に参加。後日、9kポスト付近はどんな道路形状だっけ?という話になったので、動画にて確認しました。

昨年のモーレボキャンプにて、同じく参加したメンバーのバイクにM760Dが装着されていました。僕は常にキープレフトを心掛けていますが、どのくらいキープできているのかを確認したかったので、後続のM760D装着車が記録してた動画を見せてもらいました。キープレフトにこだわるのは、センターライン側の空きスペースを確保したいからで、客観的にしっかりキープレフト出来ていることを確認できました。

後続車のヘッドライトが異様に明るい。もしかしたら煽り運転か?そんな風に思った時の記録動画です。他のクルマに比べて明るすぎることが分かります。もしかしたら、自動切換え式のハイビーム機能が適切に働いていないのかもしれない。いずれにしても、眩惑になるので気を付けて欲しいなと思いました。

土日は交通集中によって特に混雑する伊豆の東海岸、国道135号線。横断歩道付近で渡ろうと待っている人も多いことから、より慎重な運転が求められます。

国道135号線を走っている時、視野が開けて海が見えたので、ここで一発記念写真を…と思いましたが、道路幅や規制、構造上の問題から、停まって撮影することはかなり難しい状況。しかし、ドライブレコーダーの記録動画には、しっかりとそのシーンが残っていました。

夜間の信号待ちでは、昼間より目撃者が少ない分、事故に遭った際の状況説明に困ることが多いです。その点、ドライブレコーダーの記録動画が保存されていれば、信号機の色だけでなく交通往来の状況も客観的に見ることができます。

9月中旬、かなり乗り慣れてきた感のヤングさんと、箱根伊豆をツーリング。「カーブの曲がり方がイメージ通りにいかない。曲がりにくいと感じる時もある」とのことだったので、乗車姿勢や走行位置を動画にて確認してもらい、目線を送る方向や乗車姿勢について、改善点を指摘させてもらいました。

レジャー疲れがピークに達していたのか、はたまたわき見運転だったのか。今となってはその真実を知ることはできませんが、目の前を走るクルマがカーブを曲がり切れず法面に激突。もし、走行順番が前後していたらと思えば、実に怖いシーンでもあります。

ライターProfile

KAZU中西

モーターサイクルジャーナリストを始め、イベントのMCやラジオDJなどマルチに活躍!

伊伝株式会社の広報担当であるとともに伊豆スカ事故ゼロ小隊の中隊長、静岡県二輪車安全運転推進クラブ伊豆地区会長など、積極的に交通安全推進活動を行っている。

※文中に記載の品番/価格は、記事作成時のものです。

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