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【カズ中西のもりまち安全運転研究所】8 不安解消!ヨロヨロしないブレーキのかけ方
2024.02.06 見る

意外に苦手意識の多いブレーキのかけ方。ビギナーだけでなく、ベテランでもカンペキを極めている人は少ない。もしかしたら、永遠の課題かも…。それでも、コツを掴めば安定的なブレーキングができ、安心感につながります。

1.こんなに違う? 重量による停止距離の差

荷物満載でキャンプツーリングしている時、一人で街乗りしている時よりバイクが止まらないという感覚。すでに多くの人が体感しているでしょう。速度に応じた停止距離は、教習所で習ったと思います。停止距離は空走距離+制動距離で表されます。空走距離は速度に応じて長くなります。制動距離は重量と速度の二乗に応じて長くなります。例えば、同じ速度で走っていたとしても、荷物満載で車重が増加していれば、制動距離は長くなります。この違いを可視化するために、一人乗りと二人乗りで制動距離にどのくらいの差が出るのか?を簡易的に実験してみました。パイロンは約2m間隔で設置。ブレーキをかけ始めるまでの速度は40km/hとしました。

ブレーキングは、ライダーの技量差がモロにでます。ここでは、運転経験の差も見てもらいたく、免許歴は長いけれど運転経験は少ないというテストライダーに協力いただきました。

カズ兄とテストライダーでタンデム。

40km/h定速からのブレーキングになります。結果は10mより僅かに短い制動距離でした。

ライダーはカズ兄のまま、一人乗りでブレーキング。

同じ40km/h定速からですが、結果は6mを少し越えたところで停止できました。

運転経験の少ないテストライダーでトライ。

40km/h定速からのブレーキングは全くの同条件でしたが、結果は約8mとなりました。ここから、一人乗りの時よりタンデムで車重が増えている分、制動距離は長くなっていることを可視化できたと思います。

2.どこまでブレーキできるかを知るABSの作動

近年導入化が進んだABS。アンチロックブレーキシステムの略で、新型車は2018年10月から、継続生産車は2021年10月から義務化されています。過度なブレーキ操作によって車輪がロック(回転しなくなる)する状態を自動的に回避する仕組みで、緊急回避の急ブレーキや滑りやすい路面でのブレーキングに役立ちます。とは言え、ABS作動の挙動を知らない、体験したことが無いという人は意外に多いと思います。安全運転意識の高い人ほど、ABSを作動させるレベルまで強くブレーキをかけないから。とは言え、何かのきっかけでABSが作動した際、その挙動を知らないばかりにビックリしてブレーキをかけきれず、転倒や事故につながることも考えられます。逆に挙動を体験しておけば、冷静に対応できます。では、どこで体験すれば?という話になりますが、公道は危険性が高いのでNG。ライディングスクールや運転講習会等のブレーキセクションが良いと思います。

速度40km/h定速からのブレーキング。テストライダーが怖いと思わないレベルで、安定的かつ確実に止まれるようトライしてもらいました。この時、ABSは作動せず。ブレーキングによる車体姿勢の変化や車輪をロックさせずに止まれるか?等に恐怖心があったそうです。

カズ兄_ABSを効かせたブレーキング

 

40km/h定速からのブレーキングは同条件。前後ブレーキを思いっきりかけて、ABSを作動させました。超高速ポンピングブレーキのごとく作動していることを、手応えとして感じられます。びっくりしてブレーキレバーやペダルをフリーな状態にしてしまうと、ABSが解除されて空走します。ABSを上手く使うコツは、作動してもブレーキをかけ続けることです。制動距離は、ABSを作動させない時より長くなってしまいました。別の言い方をすれば、フルブレーキングしても車輪はロックせずに停止できた、となります。万が一の緊急時、危険回避に役立つABSですが、どんなシチュエーションでフルブレーキングしても転ばずに止まれる万能装置ではないので、誤解無きように。

3.安心感の高い前後ブレーキの使い方

テストライダーによれば、前ブレーキを強くかけがちで、ブレーキングしている時は車体が不安定で怖いとのこと。その理由を探るべく、普段通りに走ってブレーキングしてもらいました。すると、リアブレーキをほどんど使っていないことが判明。そこで、前後ブレーキのかけ方をレクチャーし、リトライしてもらいました。フロントブレーキのみより、前後ブレーキをかけた方が、安定的かつ短距離で止まることができます。しかし、今度は「前後ブレーキをかけるタイミングが判らない」とのこと。そこで、ワンランク上の安心感が得られるブレーキ操作方法をレクチャー。何度かトライしてもらい、「安心してブレーキングできるようになりました」と、喜んで貰えました。このブレーキ操作とは、フロントよりリアを一瞬先にかけるやり方。リアブレーキで車体姿勢を安定させ、フロントブレーキで制動力を増すのが狙いです。これを平常時はモチロン、緊急回避時もできるようになるためには、修練あるのみ。人間のやる事なので、100%確実にできる技ではないけれど、100回で90回上手くいくようになると、ちょっと感動モノですよ。実効果としては、ブレーキングの安心感が高まり、冷静に状況判断できるようになります。練習の場所はABSと同様、限定的になってしまいますが、覚えて損なしのブレーキング術です。

カズ兄_フロントブレーキのみ

 

ニーグリップしづらいバイクということもありますが、フロントブレーキのみだとハンドルバーに上体が寄り、体重の多くも乗ってしまうため、車体後ろ側の接地感が薄くなって恐怖心が芽生えると思います。

カズ兄_フロント+リアブレーキ

 

ワンランク上の前後ブレーキング。一瞬リアブレーキを先にかけることで、後輪の接地感を高め車体姿勢を安定させます。その0.05秒後ぐらいにフロントブレーキ操作を追加。前輪を路面に強く押し付けますので、ブレーキの効きが良くなり制動距離も短くなります。車体のノーズダイブが抑えられるため、ハンドルバーで上体を支えることもなくなりますから、ブレーキ操作に集中できます。安心感の高さはフロントブレーキのみの比ではない!運転技能に自身の無い人こそ、前後ブレーキを使いましょう。

【関連動画】

※デイトナテストコース内の安全な場所でテスト/撮影を行っています。

ライターProfile

KAZU中西

モーターサイクルジャーナリストを始め、イベントのMCやラジオDJなどマルチに活躍!

伊伝株式会社の広報担当であるとともに伊豆スカ事故ゼロ小隊の中隊長、静岡県二輪車安全運転推進クラブ伊豆地区会長など、積極的に交通安全推進活動を行っている。

※文中に記載の品番/価格は、記事作成時のものです。

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